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森に眠る魚 [book]

最近読んだ本です。


                              
森に眠る魚

森に眠る魚

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2008/12
  • メディア: 単行本

子どもを介して知り合った5人の主婦達。
共通の環境にある彼女達は急速に親しくなるが、いつしかその関係は壊れていく。
お受験や不倫などをキーワードに散りばめながら、母親同士の友情の脆さが描かれています。

登場人物が多く、おまけに子ども達もいるわで、それを把握するのに時間がかかりました。
そこが終わると、すぐに小説の世界へ引き込まれてしまいました。
親しくなる様子を読んでいて、私はなんとなくその関係の危うさを感じずにはいられませんでした。
育ってきた環境や価値観の違う人間達が、そんなに簡単にわかりあえるのか?
「私たち、ずっと仲間だよね」みたいな感覚で、嫌悪感さえ覚えてしまいました。
なんか苦手なんですよね、こういう関係。

その関係にも、子ども達のお受験をきっかけにして陰りが見られるように。
友情が徐々に崩壊し、母親達が壊れていくさまが、静かに、それでいてスピーディに進んでいきます。
読んでいるこちらもいろんな思いを抱きながら、一気に読みました。

「私が築き上げたあの愛しい日々は、もう戻らないのだろうか」
本の帯にある一文です。
彼女達は、人間は1人ひとり違うものだということに目をそらしていたのではないでしょうか。
ほんの少しのズレが生じ、そこから蜜月関係も一気に壊れてしまいました。
心が壊れていく登場人物を見て、「嫌なら離れればいいのに」と思いました。
距離を置くことによって、冷静さを取り戻したらまた新たな関係を築けたのかもしれません。
それにしても彼女達の夫は、存在感ないというか頼りないというか・・・
妻の悩みに耳を傾けることができれば、違う結末になったのでは?と強く感じました。

角田光代作品は「キッドナップ・ツアー」「八日目の蝉」に続いて3作品目。
買ってきた当日の夜から読み始めたのですが、夢中になって夜更かししてしまうほど。
お受験を巡る母親や子どもの気持ち、人と人とのつながりなど、色々と考えさせられる作品でした。


タグ:角田光代
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コメント 3

カオリン

xml_xslさん、shinさん、くまなおさん、nice!ありがとうございました。m(__)m
by カオリン (2009-02-03 21:53) 

tomotomo

現実にこういう関係ありそうですね。
女の友情、難しいですよね、特に大人になってからは。。。
by tomotomo (2009-02-04 17:31) 

カオリン

tomotomoさん
“お受験をめぐる母親同士の友情”なんていうと、新聞の三面記事みたいな作品に思われがちですが、1人ひとりの思いがちゃんと書かれていました。
ママ友って自分だけじゃなくて子どもも絡んでくるので、難しい部分もありますね。
by カオリン (2009-02-04 21:42) 

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