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OUT [book]

「魂萌え!」つながりで桐野夏生さんの「OUT」を読んだ。

OUT(アウト)

OUT(アウト)

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/07
  • メディア: 単行本


大分前に図書館で借りて読んだのですが、今度は文庫本で。
弁当工場でパートをしている主婦達が、同僚が殺した夫の死体をバラバラにするっていう話。
最近物騒なニュースが多かったせいか、この小説が頭に浮かびました。

夫を殺した弥生は、同僚の雅子に電話をして相談。
まず普通は自首を勧めるものだけど、「で、あんたはどうしたいわけ?」と雅子は言う。
子供もいて捕まりたくない弥生は死体を捨てに行くと言う。
が、仕事でのちょっとした出来事から死体をバラバラにすることに。
(表現がグロテスクになるので、詳しくは書きませんが)
同僚のヨシエ、邦子も巻き込んで死体をバラバラに・・・

雅子はどうして弥生を助けようとしたのだろうか?
自分の家ももはや崩壊寸前で、人のことなど助ける余裕なんてないだろうに。
同情などではなく、現在の状況を破壊したかったから?
私の読み込みが足りないのか、明確な理由は分かりませんでした。
現に雅子は家族を捨てて家を出てしまうのですが。
ヨシエと邦子は報酬がお目当てだったのは明らかだと思います。
それはやはり今の暮らしから抜け出すため。
ヨシエは義母の介護、邦子は借金だらけのわびしい生活。
弥生は夫のギャンブル・暴力に不満を募らせて、爆発したのか夫を殺害。
でも自首するでもなく、死体の処理は雅子たちにやってもらう。
やっぱり自分でやったことの落とし前はちゃんとつけないと、って思いました。
一時犯人が捕まり、捜査の手が及ばないと浮かれてTVに出たり。
読んでて呆れてしまった場面でした。

夫殺しの犯人として逮捕された佐竹という男が、雅子たちに復讐を。
クライマックスで雅子と佐竹の対決が。
読んでいると憎みあっているはずなのに、理解しあっているように思えました。
佐竹は快楽殺人の前科があり、人を愛することができない男。
自分も相手も壊れている、という共通項があったから?
罪を犯すこともそうですが、抜け出したい、壊したい・・・という意味での「OUT」というタイトルなのでしょうか?

この小説はTVドラマ・映画・舞台化されたのでご存知の方も多いはず。
雅子・・・田中美佐子/原田美枝子  ヨシエ・・・渡辺えり子/倍賞美津子
弥生・・・原沙知絵/西田尚美     邦子・・・高田聖子/室井滋 
十文字・・哀川翔/香川照之      佐竹・・・柄本明/間寛平   (TV/映画の順)
というキャストでした。
ちなみにTV版は、原作にない雅子の友人の刑事役として飯島直子が出てました。
街金業者が哀川翔っていうのは「いかにも」という感じです。
ドラマでは夫が佐竹に殺されたり、警察の腐敗も描かれていて盛りだくさん。
日系ブラジル人の役で伊藤英明が出てる!
映画では弥生が子持ちではなく、妊婦さんになってます。
TVは観ていないのですが、映画は原作ほどの凄惨なイメージはありませんでした。
香川照之さんが十文字の小悪党ぶりをうまく演じられていました。
弥生は原さんの方が原作に近いイメージ?
・・・などなど、原作と比較するのも楽しい。
小説を読んでいると、もし映像化されたらこの人だ!なんて思いながら読むことってありませんか?
本当はもっと書きたかったのですが、かなりの長編なのでこのあたりでお許しを。

OUT

OUT

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2004/01/23
  • メディア: DVD


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